つくばエクスプレスにて秋葉原に向かう。ちなみにこの路線は初乗車。最新の電車,ホームは,ちょっと違う感じ。さて,秋葉原に着いたのだが,しばらくぶりだったので,ここはどこ状態。目的のダイビルは,駅すぐ近くのはずなのだが・・・と歩いているうちに見覚えのある交差点。例の事件の現場である。あの光景が目に浮かぶ。ネット社会への衝撃も大きかっただけに,これからの情報教育の行方が,2日間のセミナーで少しでも見えてくればと思う。
午前は,中川先生@メディア教育開発センターの「新学習指導要領とこれからのICT教育」と題した講演を拝聴。
ICTの活用効果として,
意欲・関心の拡充
繰り返し練習による理解の補完
焦点化による知識の補完
拡大提示によるイメージ化
共有化による話し合い活性化
視覚化による思考の深化
授業準備の軽減
時間の短縮による本時のねらい追究時間の確保
これらの効果を多くの実践を紹介しながら大変詳しく説明していただけた。そのほとんどが午後の発表の自分の実践とつながる。午後の発表をどうしようとどきどきしていた時だけに,自分の実践に自信を持って発表できそうな予感。
講演のあと,昼食を兼ねて,午後のセッションの打ち合わせ。顔なじみの先生もいたりと,和やかな雰囲気での打ち合わせ。あっという間に時間。機器の動作確認のため,会場へ。カシオ計算機の小西さんと簡単な打ち合わせと最終確認。
午後からは,分科会3 中川先生をコーディネーターにICT教育セミナー。
まずは,子どもが主役のICT教育~モバイル端末を活用した新しい授業づくり~と題して,本岡先生@和歌山市立有功東小学校,佐和先生@松戸市立馬橋小学校,木村先生@相模原市立東林小学校の実践発表。Willcomの携帯を活用しての実践。しかし,これはもう携帯の域を出ている。小型のPCともいっているが,まさに・・・PC以上。増井は日頃の実践で,タブレットPCを活用しているのだが,それ以上の効果が期待できそうな機器である。また,これらの実践発表のプレゼンをWillcomの携帯上で行っているというのであるからなお驚き。発表終了後,おもわずブースに走ってしまった。
次はいよいよ増井の発表である。ICT機器を活用した「わかる授業」と題しての実践発表である。
以下はレジュメより
1.大きく見せる
教科書を大きく映し出すことで、子どもたちの目を焦点化し、情報の共有化を図ることができます。子どもたちにとって授業が確実に「わかりやすい」に変わります。わかりやすいとはより理解が進み学習内容の定着を図ることができるということです。教科書等(資料集・ワークシート・子どものノート…)を大きく見せる方法には、大判プリンタや実物投影機+プロジェクタ、インテリジェントプロジェクタなどが考えられますが、今回は書画カメラ(カシオ計算機)+プロジェクタを活用した、『わかる授業』の実践を紹介します。
2.活用例①
書画カメラを活用して授業を行うにあたり、一番のポイントは性能とその操作性にあります。まず、見せたいものを置くだけで、細かい部分まではっきりと映し出せることが必要です。私が使っているものは、1010万画素デジタルカメラを搭載しているので、くっきりと映し出すことができます。また、とにかく操作が簡単であることも重要です。
その点で、教科書や社会科の資料集などの投影には最適です。必要な(見せたい)部分だけを拡大して映し出すことができるので、子どもたちは集中して学習に取り組むことができます。授業の展開に応じて臨機応変に投影するものを取り替える。子どものノートやワークシート・表現物。子どもたちが自分のノートやワークシートを投影し考えを説明する。ワークシートを投影し答えを書き込む、漢字ドリル、白地図、方眼紙、楽譜、写真、新聞記事…。書画カメラを活用することによってどのような学習効果があるのかは、顔を上げてスクリーンを見つめている子どもたちの表情に表れています。
6年算数科「かさを調べよう」の実践から
図形を扱う単元は、黒板での板書も時間を要し、これまでも大判プリンタなどを用いて資料を提示してきましたが、今回は書画カメラを活用して実践を行いました。
子どもたちには、教科書のページをそのまま見せるのではなく、必要な(見せたい)部分だけを拡大し提示します。情報が多すぎると、どこを見ればよいのかわからなくなります。そういったことがなくなるので、子どもたちは集中して学習に取り組むことができていました。
子どもがスクリーンに書き込みをしながら自分の考えを説明しているところです。子どもが自分のワークシートを用いて、自分の考えを説明しているところです。そこでは、さらにスクリーンに追加の書き込みを行い、自分の考えを相手にしっかりと伝えようとしている様子が見られました。子どもたちも慣れたもので、普通に前に出て来て説明を行います。こういった学習が、書画カメラを活用することで日常的に行われるようになってきています。
3.活用例②
書画カメラに搭載されているデジタルカメラを取り外して子どもたちの学習の様子、教室外での活動、昆虫や植物、理科室での実験の様子などを撮影し、教室で映し出して見る。事前にまとめてスキャンしておいて、授業中は資料の入れ替えなしで投影する。PCのコンテンツやネット上のコンテンツを投影する。こうしたICT機器を中心に、密度の高い学習の展開が可能となります。
4.子どもたちの変容
子どもたちの学習意欲の向上がまず一番にあげられます。教師がテンポ良く教材を提示する。全員が顔を上げ、スクリーンに集中する。子どもたちが前に出て来てスクリーンに映し出された資料を使って自分の考えを書き込みをしながら発表する。関心・意欲だけではなく、子どもたちの思考・考える力や発表力などにも変容が見られます。つまり、単に映し出されたものを見ているのではなく、そこから学びを深めている、情報を共有し子どもたち同士が学び合うといった学習スタイルが定着してきたと感じられます。子どもたちへのアンケート調査では、全員が授業でのICT機器の活用を望んでおり、ICT機器を活用することで学習内容の理解につながったと回答しています。子どもたちだけでなく、まわりの先生方へも徐々にICT機器活用の輪が広がってきています。
さて,発表の方は,相変わらずのドタバタで(途中でプロジェクタのコードを引っかけるなど有り),中川先生に助けられっぱなしといったところですが,なんとか無事持ち時間をこなすことができた?前から見ているぶんではあるが,会場のみなさんの反応もよく,うなずきながら,メモをとりながら,写真を撮りながらの姿を伺うことができた。質疑応答では,文科省の椿参事官から直接質問を頂くなど,大変熱のこもったやりとりができた。中川先生をはじめ会場の皆様に感謝。
次の発表は,細田先生@大阪府立長野北高等学校の感じて楽しむICT活用の音楽授業の実践発表である。音楽には興味があり,どんな授業をと関心を持って聞いていたのだが・・・驚きの授業である。こんな授業なら自分も受けてみたい!シベリウスというソフトを活用されていたのだが,体験版を頂くことができた。後で絶対にためしてみたいと思った。
本日最後の発表は,石川先生@甲府市立大国小学校,鈴木先生@横浜市立大綱小学校の国語デジタル教科書でわかる授業をの実践発表であった。いわゆる光村図書の国語デジタル教科書を活用しての授業実践である。しかし,単なる実践発表ではなく,そうか,こんな使い方が・・・まさにICTを効果的に活用した実践を聞くことができた。
あっという間の1日であったが,多くのことを学ぶことができた。最後まで参加された会場の皆様,中川先生,日本教育新聞社の皆様,機材等を提供して下さった協賛企業の皆様,実践発表をされた先生方に感謝。